・非常に期待され、個人的にも期待していたBrainStorm社の自家間葉系幹細胞移植であるNurOwn細胞の第3相試験ですが、同社の11月17日付press releaseにより主要評価項目を達成できなかったことが公表されました。

・189名のALS患者を対象に行われたこの第3相試験の主要評価項目はALSFRS-Rの変化率が治療開始後に治療開始前と比較して1.25点/月以上の改善度を示した反応群の割合でした。

・NurOwn投与群では34.7%、プラセボ群では27.7%で統計的有意差はみられませんでした。

・副次評価項目の28週間でのALSFRS-Rの変化量はNurOwn群 -5.52点、プラセボ群 -5.88点でこれも有意差なしでした。

・その他サブグループではどうなるかということも掲載されていましたが、事前に計画されていた層別化であればいいのですが、結果がでてから都合の良いようにサブグループを選んで、検定を行うことは禁忌ですので、触れないようにしておきます。

・髄液中の神経栄養因子などのマーカーの有意な上昇と神経炎症に関わるマーカーの有意な低下は観察された(プラセボ群では観察されなかった)とのことです

・再生医療関連のALS臨床試験としては、まだ第2相以前ですが同種幹細胞由来アストロサイトの移植(AstroRx)、Mayoクリニックなどで行われている自家脂肪組織由来間葉系幹細胞移植などが進行中です。NurOwn細胞は幹細胞移植のトップランナーだっただけに、残念度が大きいです。

・孤発性ALSに関しては、Ionis社のION541(ataxin-2 mRNAに対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド製剤)の臨床試験など期待できる材料もありますので、今後の進展を待ちたいところです

引用元
https://ir.brainstorm-cell.com/2020-11-17-BrainStorm-Announces-Topline-Results-from-NurOwn-R-Phase-3-ALS-Study