掲載を急ぐあまり、COVID-19に関連した論文の査読過程がずさんとなり、Lancet誌やNEJM誌に掲載された論文が取り下げとなったことが話題となりましたが、さっそく今日の勉強会でそういう状況に直面しました。
扱った論文は、lancet psychiatryのMost readに載ってた、文献1の. ”Psychiatric and neuropsychiatric presentations associated with severe coronavirus infections: a systematic review and meta-analysis with comparison to the COVID-19 pandemic”だったんですけど、重症コロナウイルス感染症に伴う精神症状は知っておいた方がいいし、ここ最近で一番よく読まれてる論文だし、無料だからこれはいいと思って読んだんですけど、間違いがあって、しっかりしてほしいと思いました。
間違いあったのは12ページの右段7行目”MRI demonstrated larger leptomeningeal spaces in eight (62%) of 13 patients”
COVID-19で精神症状を呈し、MRIを撮像された患者の13名中8名でくも膜下腔の拡大がみられた。と訳せると思うんですけど、これは間違いです。
引用元の論文(文献2)では”Enhancement in leptomeningeal spaces was noted in 8 patients”と書いてあり、くも膜下腔の高信号域がみられたということなのです。拡大したなんてどこにもない。
どんなに掲載を急いでも、こんな間違いはいかんです。どんな画像なんだろうと思って、たまたま元論文をあさってみたからよかったようなものの、誤った情報を流してしまうところでした。
lancet psychiatryに掲載された論文はこれまでのエビデンスのまとめが載ってて好きなんですけど、COVID関連論文は気を付けないといけないと思いました。

1)Jonathan P Rogers et al. Lancet Psychiatry 2020 Published Online May 18, 2020
2)Julie Helms et al. N Engl J Med . 2020 Jun 4;382(23):2268-2270. doi: 10.1056/NEJMc2008597. Epub 2020 Apr 15.